きっと魔法のトンネルの先
Posted by naoco at February 20th, 2018
ずっとリピートして聴いている、小沢健二さんの新曲。
アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)
歳を重ねていくと、過去の自分や思い出をセピア色からカラフルに変換しても「大丈夫」と思える日が来るものだと感じるようになりました。そんな今の自分だからこそ、この曲を聴くと切なくもあり、穏やかにも感じ、暖かい風がふんわりと心を包んでくれます。
とてもストレートな詩。岡崎京子さんを指す「君」をそれぞれが、違う「君」を想って聴く人も多いかもしれません。
二階堂ふみさんと吉沢亮さんの絶妙なポエトリーリーディングが、さらにリアリティをプラスしてくれます。それは青春時代のレモン味でもあり、お酒を初めて口にした時の大人になりきれない少年と少女のような不安定さでもあり。
原宿、日比谷公園、駒場図書館、下北沢、シェルター。
固有名詞を並べてみると、ある日ベリーショートにした私、ブランド物をたくさん持っていたあの子、いつも前の席で授業を受けていたあの子達、秘密の恋をしていたあの子、華奢なミュールで駅から通用門まで走り抜けていったあの子。奥の奥の奥にしまわれていた写真が1枚ずつ手のひらに乗っかって、まるで魔法のトンネルをひらりと通り抜ける感覚になります。
今、あの日、あの時、その先。
「僕」と「君」のその先が幸せであるよう、アルペジオを聴いた人は得体の知れない胸いっぱい感になるはずです。